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お産事情

2004年、福島県大熊町の県立大野病院で、帝王切開の手術中に患者の女性を死亡させ、意思が業務上過失致死の罪に問われた「大野事件」で、この医師に無罪判決がこの8月20日に下された。
(→記事詳細(読売ウイークリー)

29歳という若さで生まれたばかりの赤ちゃんとお子さんを残して亡くなられた女性の無念と家族のみなさんが直面する悲しみなど、私の想像をはるかに超えたものがあることでしょう。

Graph反対に、 『医療行為が罪に問われる』という今回の事件は、産科医だけの問題でなく、高いリスクを背負った手術を行う救急医療にたずさわる人々に衝撃と戸惑い、リスクのない医療への転向を考える動きに拍車をかける結果とともなった。

出産の1万分の1の確率で発生する癒着胎盤という大きなリスクは、出産時になるまで診断することは不可能だという。
その状況に直面した医師は、足がガタガタ震え、無事を祈りながら緊急対応をするのだと言う。

私の出産体験は、幸いにも3人とも安産で死産や流産の経験がなく、大変恵まれたものだった。
戦前の昭和10年に、昔でいう産婆(さんば)さんに、祖母は母を取り上げてもらった!
その助産院で、私は上の子2人を里帰り出産した。
22年前の長女の折に、すでに82歳になっていたハギワラ先生、今にいう「助産師」さんが取り上げてくれる開業50年の宝助産院というご利益のありそうな名前だ。

助産師は正常分娩の母子の処置しかできないため、近くの産婦人科の医師が万が一の難産には駆けつけてくれる嘱託医となっている。
ハギワラ先生は、すでに4000人以上の赤ちゃんを取り上げてきたチョーベテランの先生で、85歳の時には長男を取り上げてもらえた。

88歳までは月にひとりの出産で、何とか頑張って見えたのだが・・・これぞ家庭の手料理!という美味しい食事と大盛り3杯はあるという御ひつを用意してくれた相棒の賄いさんを先に亡くされて、とうとう病院を閉めてしまい、90歳で大往生された。

産後の母乳マッサージもとてもていねいにしてくれて、和室の天上近くまで飛ぶほどの腕前で、病院出産されて出ないという人が噂を聞きつけてくるほどだった。

このハギワラ先生がとても大変なお産に出会ったことがある。
42年前、叔母が従兄弟を出産したおり、この大野事件のようにお産が終わった後の胎盤が剥がれないという事態に陥ったことがある。

本来は、後産といってもう一度陣痛のような痛みがおき、胎盤を出産?というくらいの軽いいきみをして、きれいに出ていくのが普通なのだが・・・なかなか剥がれてこない・・・

これは大変なことになった!
思い切り手を入れてきれいに掻き出さなくてはならない。
このときほど命の縮まる思いのした出産はなかったという。
結局、連絡で駆けつけてきた医師が来る前に処置も済み、事なきを得た。

里帰り出産を2度も経験したが、次男は初めての病院出産で「ヘソの緒」が流され捨てられる散々な体験をした。

自宅のような温かさのある助産院を好む人もいれば、専用シャワーにトイレつきで豪華フランス料理の産院、看護士さんではなくコンセルジュと呼ばれる妊娠・育児のお世話役さんにアロマケアまでしてもらえる病院まであるという。
リラックスでき、安心した気持ちで出産に望めるのはいい。

2004年の妊産婦死亡データによると、15000~20000人に1人の割合で母体死亡がある。
出生数111万人で、妊婦死亡数49人
また、死産・早期新生児死亡も200人に1人の割合で起きている。

原因は、産科的塞栓症(羊水や胎便が血流に入りアナフィラキシー反応による呼吸困難などが発症、死亡率は60%)分娩時の出血、前置胎盤・胎盤早期剥離、妊娠中毒症の順になっている。

心から安心して任せることの出来る産院選びと、死もありうるという気持ちで厳粛に望んで欲しい。
そして、出産難民という行き場のない危険な出産や臨月まで病院で診察を受けない、受けられないという妊婦が増えているのも気にかかる。

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